ほじょ犬(補助犬)を知ろう|盲導犬・介助犬・聴導犬の違い、見かけたときの4つの約束、補助犬法と合理的配慮

お店の入口で「ほじょ犬」と書かれた犬のマークを見たことはありませんか。補助犬(ほじょけん)は、目・耳・手足に障がいのある人をサポートする盲導犬・介助犬・聴導犬のことで、障がいのある人が自立して社会に参加するための大切なパートナーです。この記事では、3種類の補助犬の仕事の違い、街で見かけたときの約束、そして「お店や電車に一緒に入れる」ことを定めた身体障害者補助犬法と障害者差別解消法について、子どもに聞かれたときに説明できるようにまとめました。
補助犬とは
補助犬は、目や耳、手足に障がいのある人をサポートする「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」のことです。2002年に施行された「身体障害者補助犬法」で、この3種類をまとめて「身体障害者補助犬」(略して補助犬)と名づけました。
補助犬は法律にもとづいて必要な訓練を受け、認定された犬です。使用者(補助犬と暮らす人。この記事では「ユーザー」と呼びます)は、犬の健康・衛生・行動の管理をしっかり行っているので、補助犬は社会のマナーを守り、清潔に保たれています。ユーザーが補助犬と一緒に施設を利用するときは、いつでも補助犬だと示せるように、犬種・認定番号・認定年月日などを表示しています。
ひとことで言うと
補助犬はペットではなく、障がいのある人の「からだの一部」として働くパートナーです。だから、お店や電車にも一緒に入れます。
活躍するパートナーの種類
盲導犬(もうどうけん)
目の不自由な人と生活する犬です。見えない・見えにくい人が安全に歩けるようにサポートします。障害物をよけたり、曲がり角や段差で立ち止まって教えたりします。ハーネス(胴輪)をつけ、「盲導犬」と表示しています。
介助犬(かいじょけん)
手や足の不自由な人と生活する犬です。日常生活の動作をサポートします。落とした物を拾って渡す、指示した物を持ってくる、服を脱ぐのを手伝う、ドアを開ける、などを行います。「介助犬」と表示しています。
聴導犬(ちょうどうけん)
耳の不自由な人と生活する犬です。聞こえない・聞こえにくい人に、必要な生活の音を知らせます。玄関のチャイム、メールやFAXの着信音、赤ちゃんの泣き声、車のクラクション、火災報知器の音などを聞き分けて教えます。「聴導犬」と表示しています。
補助犬を見かけたら:4つの約束
ハーネスや表示をつけた補助犬は、目・耳・手足の不自由な人のお手伝いをしている「仕事中」です。犬が好きな子ほどさわりたくなりますが、気をそらしてしまうとユーザーが危険な目にあうことがあります。次の4つを守りましょう。
- 話しかけない(名前を呼ぶ、口笛を吹くなども)
- じっと見つめない
- 勝手にさわらない
- 食べ物や水をあげない(ユーザーが食事の量と時刻で排せつや健康を管理しています)
補助犬を連れていても、ユーザーへの手助けが必要な場面はあります。困っている様子を見かけたら、犬ではなくユーザー本人に「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけたり、筆談をしたりしてください。補助犬が通路をふさいでいるなど、ユーザーが気づいていないことがあれば、それも伝えてあげてください。
身体障害者補助犬法とは
身体障害者補助犬法は、障がいのある人の自立と社会参加を進めるために、補助犬を連れた人の受け入れを義務づける法律です。2002年5月22日に成立し、同年10月1日に施行されました。
この法律によって、次のことが決められています。
- 受け入れの義務:国や自治体の施設、公共交通機関、そして飲食店・ホテル・病院・スーパーなど不特定多数の人が利用する民間の施設は、補助犬の同伴を正当な理由なく断ってはいけない(民間施設は2003年10月から)。
- ユーザーの義務:補助犬の行動と衛生をきちんと管理し、認定を受けた補助犬であることを表示する。
- 育成団体の義務:質の高い補助犬を育成し、認定する。
この法律ができた目的
盲導犬と一緒にひとりで出かけられるようになっても、お店や交通機関で断られてしまっては意味がありません。補助犬の受け入れをスムーズにして、障がいのある人の社会参加と自立を後押しすることを目的に、この法律がつくられました。
障害者差別解消法と「合理的配慮」
補助犬の受け入れは、もうひとつの法律「障害者差別解消法」とも深く関係しています。この法律は、障がいの有無で分け隔てられることなく、お互いの人格と個性を尊重しながら共に生きる社会の実現をめざして、2013年6月に制定されました(2016年4月施行)。
この法律では、「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮をしないこと」が差別にあたります。
「不当な差別的取扱い」とは
役所や会社・お店などが、障がいのある人に対して、正当な理由なく、障がいを理由にサービスを断ったり条件をつけたりすることです。
不当な差別的取扱いの例
- 受付の対応を拒否する
- 本人を無視して、介助者や付き添いの人だけに話しかける
- 学校の受験や入学を拒否する
- 「障がい者向けの物件はない」と言って対応しない
- 保護者や介助者が一緒でないとお店に入れない
- 「犬はお断り」を理由に補助犬の同伴を断る
「合理的配慮」とは
障がいのある人から「社会の中にあるバリアを取り除いてほしい」という意思が伝えられたとき、負担が重すぎない範囲で対応することです。負担が重すぎる場合でも、なぜできないのかを説明し、別のやり方を一緒に考えて、話し合うことが大切とされています。
2024年4月から、お店や会社も「義務」に
この記事をFLOURに書いた2023年の時点では、民間の事業者の合理的配慮は「努力義務」でしたが、法律の改正により2024年4月1日から、事業者も合理的配慮の提供が義務になりました。役所も、お店も会社も、同じ立場で求められます。
合理的配慮の例
- 障がいの特性に応じて座席を決める
- 意思を伝え合うために、絵や写真のカード、タブレットを使う
- 段差があるときに、スロープなどを使って補助する
- 従業員が少なく混んでいるときに「車いすを押して案内してほしい」と頼まれたら、話し合ったうえで、負担が重すぎない別の方法をさがす
ほじょ犬マーク
お店の入口などで見かける、青い四角に犬の顔と「Welcome! ほじょ犬」と書かれたマークは、厚生労働省がつくった「ほじょ犬マーク」です。「補助犬ユーザーと補助犬がどこでも一緒に活動できる社会」のために、補助犬法の理解を広める目的でつくられ、リーフレットやポスター、ステッカーで啓発に使われています。マークの画像やリーフレットは厚生労働省のサイトからダウンロードできます(下の「参考にした情報」からどうぞ)。
このほか、全国盲導犬施設連合会の「補助犬同伴可」ステッカーや、自治体が独自につくった啓発ワッペン(宝塚市の介助犬ワッペンなど)もあります。補助犬にまつわるマークの一例です。
各マークの画像は、それぞれの発行元のものです。使い方は発行元の案内に従ってください。
よくある質問
補助犬はお店やレストラン、電車に入れるの?
入れます。身体障害者補助犬法で、公共施設・交通機関はもちろん、飲食店・ホテル・病院・スーパーなど不特定多数の人が利用する施設は、補助犬の同伴を正当な理由なく断ってはいけないと定められています(2003年10月から民間施設も対象)。ペットの入店を断っているお店でも、補助犬は別です。
補助犬とペットの見分け方は?
補助犬は「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」と書かれたハーネス(胴輪)やケープをつけていて、使用者は認定証(犬種・認定番号・認定年月日などが書かれたもの)を携帯しています。施設側は認定証の提示を求めることができます。
補助犬を見かけたら、子どもにどう教えればいい?
「お仕事中だから、話しかけない・じっと見ない・さわらない・食べ物をあげない」の4つを伝えてください。犬が好きな子ほどさわりたくなりますが、気をそらすと使用者が危険な目にあうことがあります。「がんばってるね」と心の中で応援するのがいちばんの協力です。
補助犬は日本に何頭くらいいるの?
盲導犬が約800頭、介助犬・聴導犬はそれぞれ数十頭で、合計でも1,000頭前後です(頭数は年ごとに変わります。最新の実働頭数は厚生労働省のページで公表されています)。必要としている人に対してまだ足りず、育成には寄付やボランティア(パピーウォーカーなど)が支えになっています。
参考にした情報
- 厚生労働省「身体障害者補助犬」
- 厚生労働省「身体障害者補助犬の概要・利用方法」
- 厚生労働省「ほじょ犬マーク」
- 内閣府「障害者差別解消法」(令和6年4月 事業者の合理的配慮の義務化)
- 公益財団法人 日本盲導犬協会
- 社会福祉法人 日本介助犬協会
- 社会福祉法人 日本聴導犬協会
この記事は公的機関の案内をもとに、むぎこがまとめました。制度や配布方法は変わることがあります。最新の情報は各リンク先でご確認ください。








