ひよこの会をサポートされている先生も協力し、会OBのお母さまが視覚障害児の子育てをしながら出版社を立ち上げて育児書を作ってくださったそうです!
2023年3月10日発刊
●目の見えない乳幼児の育児書、
42年の時を超え、ついに刊行。東京都心身障害者福祉センターで42年前に刊行された「育児ノート」(目の見えない子どもを育てる親御さん向け育児書)をもとに、当時の執筆者や研究者を中心とした視覚障害教育に関わる実践者たちが検討を重ね、大幅に改編。
新たに明らかになった発達に関する研究成果を盛り込みました。親御さんはもちろん、保育所・幼稚園、療育センター、心理関係者、保健師、医療関係者など、関わる全ての方、必読の書。
●本書の特徴
目の見えない乳幼児を育てる時、「今、何をしたらよいか」を具体的に知るヒントが得られるように構成。それぞれの発達段階に合わせた見えない子どもの事例を多数掲載。育児に自信が持てるようになります。●なぜ42年前の育児書をもとにしているのか
出産後から家庭で始まる見えない子どもの育児の具体的な配慮事項については、現在でもその本質に変わりがないこと、インクルーシブ教育の必要性が指摘されながら、幼稚園や保育所に通う見えない子どもたちへの支援等について記述したものが、現在でも見当たらないためです。
※本書は、目の見えない子のICT機器の活用方法などについて書き下ろすなど、現代の生活環境に即した内容となっています。【著者】
香川スミ子 日本大学大学院理工学研究科医療福祉工学専攻後期課程終了博士(工学)。1970年より東京都心身障害者福祉センター視覚障害科、幼児科、在宅援助科に29年勤務。
岡田節子 筑波大学大学院修士課程教育研究科(カウンセリング専攻)修了。韓国啓明大学大学院公衆保健学科終了。保健学博士。1973年より東京都心身障害者福祉センターにて22年間勤務。
神尾裕治 福島大学教育学部小学校教員養成課程卒業。東京都立葛飾盲学校長、東京都立久我山盲学校長を歴任。元長野大学社会福祉学部教授。「二三の会」(特別支援教育研究会)主宰。
三科聡子 東京学芸大学教育学部特殊教育教員養成課程卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修了。修士(人文)。宮城教育大学教育学部特別支援教育専攻准教授。
山本敬子(イラスト) 静岡大学教育学部養護学校教員養成課程卒業。現在は沼津視覚特別支援学校教諭。●著者からのメッセージ
見えないことは発達を阻害する大きな要因にはなりません。見えない子どもの発達を考える上で大事なのは「子ども自身が自分の周囲にいる人や物に対して、自発的に働きかけること」にあります。赤ちゃんが自分でその力を持つためには、初めは大人の手助けが必要です。では、大人は、何をどのように手助けしたらよいのでしょうか。
本書は、40年以上前に東京都心身障害者福祉センター職員によってまとめられ、現在では廃版となった「育児ノート」を、大幅に書き換えたものです。
出産後から家庭で始まる、目の見えない子どもの育児の具体的な配慮事項は、現在でもその本質に変わりがありません。また、幼児期からのインクルーシブ教育の必要性が指摘されながら、幼稚園や保育園に通う目の見えない子どもたちへの支援等について記述したものがないからです。本書の発行にあたって、私ども視覚障害乳幼児発達研究会の月例勉強会等で、視覚障害児の教育や育児に携さわっている教員や研究者、親子さんに参加してもらい、頻繁に意見を交換しました。
そして、目の見えない乳幼児の育児に関して具体的で新たな提案を加えることができました。群馬大学名誉教授、中野尚彦氏は巻頭言で次のように述べております。
「著者達は長い年月こども達を見てきた。見て知り得たことは書き残さねばならない。(略)この本は、時としてその育児の共有者になれる。(略)共有者は、本だけではない。助言し援ける専門家や先生もいると思う。その人達はこの本に書かれていることを知っているだろうか。理論や主張は様々にあっても、事実は事実だ。何をどう論じるにしても、事実は共有されていなければならない。この本は、目の見えない子ども達に関わり、親御さん達に助言し援ける人達に読まれていなければならないと思う。」
ご一読いただければ幸いです。視覚障害乳幼児発達研究会
著者 香川スミ子
岡田節子
神尾裕治
三科聡子
イラスト 山本敬子●もくじ
【序章】赤ちゃんを育てるにあたって大切にしたいこと
【第1章】乳児編
(「首が座る前」までの生活、「落としたものを探す」ころの生活、「音のする方へ手を伸ばしてつかむ」ころの生活 ほか)
【第2章】幼児前期編
(「玉ころがしができる」ころの生活、「大中小の○の型はめができる」ころの生活 ほか)
【第3章】幼児後期編
(あそび;ことば;基本的生活習慣;「見えないこと」の理解 ほか)
【第4章】幼稚園編
(就園準備;就園後の諸問題と対応;専門的な教育内容 ほか)
【付録】盲幼児を受け入れた保育所、幼稚園の体験報告