楽しんできました「 Oriインクルーシブコンサート2024」東京都世田谷区烏山区民会館ホール

1カ月ほど前にCOMUGICOに掲載させていただいている”ともくんみゅーじっくすたじお”さんからお知らせをいただいたOriインクルーシブコンサートに参加させて頂いた。

年度が変わってからは地域活動やPTA活動が忙しく、なかなかイベント参加がままならなかったため、ひさびさのイベントにワクワクして当日を迎えた。
会場は近場で午後の開演までにはまだまだ充分に時間がある。
余裕のある日曜日の朝ほど気持ちいいものはない。

さて、もう一度チラシを見てみよう。
・・・あれ、事前申込のアドレスがあるぞ。
サッと血の気が引く。そうだ、後で申し込みしようと思いながらすっかり忘れてしまっていた。
ヤバい!ムギコと娘はすっかりその気になって、ジャンボリーミッキーのダンスを繰り返し練習している。
と、とにかく申し込んでみよう。当日だけどまだ時間的には「事前」だし。。。
申し込みのメールを送り、しばらく待ってみたが返信はない。そりゃそうだ、会場のセッティングやリハーサルで大忙しでメールを確認する時間など無いに決まっている。
「・・・すみません。申し込み忘れてました。」
私はムギコと娘に正直に報告した。
「ちょっと!娘のこのテンションどうするの!私も楽しみにしてたのにー!」
「と、とにかく行ってみよう。キャンセル待ちとかあるかもしれないし、、。」
開演時間まではまだまだ時間があるが、早めに会場へ向かう方がが良いと判断し、すぐに家を出た。
電車内で私は会場に入れなかった時の代替案(プランB)をスマホで探しておくことにした。
プランBの重要性は海外ドラマでイヤというほど学んでいる。時に特殊部隊の存亡を左右したりするのだ。
しかし僅か(急行電車で一駅)しかない移動時間ではプランBを立てる時間はなかった。
TIME UP
海外ドラマに登場する無能な指揮官の気持ちがよくわかった。

改札を出てからキョロキョロとプランBになりそうなお店を探したが、残念ながら駅から会場までの徒歩30秒ほどの間には無かった。
万事休す。もう腹を括るしかない。
普段なら嬉しい駅チカの会場を恨めしく見上げ、恐る恐る入口を入った。すぐに受付があり、なんとそこには「当日券」の文字が。
神は我が部隊を見捨てなかったようだ。
早速当日券を3枚購入すると「コムギコさん?」
と娘のコムTに気づいてくれた受付の女性が声を掛けてくださりとても嬉しかった。
座席を確保し会場前の広場へ出た。会場に入る前に雑貨を売る出店やキッチンカーが並んでいたのを見ていたので、小腹を満たしておこうと考えたのだ。
木陰のベンチに座り娘のポテトを盗み喰いしつつ、どんなステージが観られるのかワクワクしながら開演時間を待った。

会場に戻ると観客席はほぼ満席である。早めに来てチケットと座席を確保したのは正解だった。確保した座席は前が通路になっており、娘も存分に踊ることができる。
娘のコムTに気づいてくれたキリグ代表の三宅さんが手を振ってくれ。開演前の忙しい中にもかかわらずご挨拶させていただくことができた。
また、幸いなことにOriインクルーシブミュージック代表の黒澤さんにもご挨拶することができた。
キラキラとしたその笑顔は膨大な労力を使ってこのイベントを企画実行した疲れなど微塵も感じさせない清々しい笑顔だった。

いよいよ開演だ。
まずは主催のOriインクルーシブミュージック代表のご挨拶。
特性のある息子さんが音楽などの芸術になかなか接する機会がないことに奮起し、同じ境遇の方々に体験機会を提供したいと今回のイベントを企画・実行したという。
我が家もかつてあちこちでそんなシーンを経験したことを思い出した。

一番手は「BBB」BLACK BIRD BAND。地元烏山のカラスから命名したバンド名はなかなかトンチがきいている。
烏山福祉作業所の利用者・職員・ボランティアで活動しているという。
目と口がプリントされたお揃いの黒いTシャツに、全員ハットを被った23人がステージに並ぶ姿は壮観だ。
誰もが聞いたことのある曲を次々に聴かせてくれた。とにかくステージの上で楽しくてたまらないといった感じで演奏する彼らはまさに音を楽しんでいた。
客席では聞き覚えのあるメロディーに手拍子をしながら身体を動かす観客、通路ではノリのいい子どもらが思い思いに踊っている。
演者の笑顔が客席に伝染していく。
娘お待ちかねのジャンボリーミッキーでは娘も少しはにかみながら通路で踊っていた。
リッチー・ヴァレンスのラ・バンバなんて通な選曲にもセンスを感じちゃう。(個人的好み)
つい歌っちゃうじゃないか!

次は宝塚OG2人とキリグ三宅さんのキーボード、プロバイオリニスト太田滉平さんによる圧巻のステージだ。宝塚で磨き上げた歌唱と安定感のある演奏はキャッチーな選曲と相まってなんだかとても安心して鑑賞することができた。
アナと雪の女王のテーマ曲に目をキラキラさせる娘の横顔が忘れられない。

そしていよいよKirig バンドの登場だ。

ゲストメンバーのともくんがドラムを叩く曲もあるのだ。キリグ&ともくんは普段別の場所で活動しているが、度々コラボ活動をしている。
以前ドラム教室を営む”ともくんみゅーじっくすだじお”さんにお声がけを頂き、音楽に特化した学童保育を行なっているキリグさんで行われた合同イベントにお邪魔した際、音楽の持つ力に改めて感動したことを思い出した。

TV局イベント出演時の大きな虹のフラッグの前で楽しそうに踊り歌う子ども達が練習の成果を遺憾なく発揮している。娘も歌を口ずさみながら身体を揺らしていた。
終演後のステージに手を振ると目が合ったトモくんが手を振り返してくれた。
後ろ知り合いでもいるのかなと思い振り返ってみたがそれらしい人はいない。
思わずステージに駆け寄り「覚えていますか?」と握手を求めると右手を握り返しながら「もちろん!」とばかりに頷くともくん。
まだ一度しか直接会ったことのない私を覚えてくれていたことに感動してしまう。

モトブルさんは調布FMにレギュラー番組を持つプロミュージシャンである。

YouTube:@motoble
Instagram:@ motoburu_hida

メンバーの一人は生まれながら肺と心臓に深刻な障害を持っていたが、重篤な状況から肺の移植によって見事復活を遂げ、デュオを再開したという。
そんなバックグラウンドを持つ彼らの歌はともすれば怠惰に生きていきがちな私の胸に突き刺さり鳥肌が立つ。

ラストは世界で一つだけの花を客席のみんなで大合唱し、大盛り上がりのなか幕となった。

驚くべきは今回のコンサートイベントはOriインクルーシブミュージックの集大成でなく、第一回目、初めての企画イベントだということなのだ。
これだけの規模でこの充実した内容、企画者の経験と能力だけでなく、なによりも熱い想いとその想いに共感した仲間がいなければ成し得なかったに違いない。
一つだけ心配なのは最初から完成度の高いイベントを成功させたことにより、今後のハードルが上がってしまったことだ。
同様以上のクオリティーを維持していくことはとても難しいのではないだろうか。
立ち上がり周りを見回した私はそれが杞憂にすぎないことをすぐに悟った。
満員の客席は誰もが笑顔で最高に充実した時を過ごした満足感に包まれていた。
もしかしたらイベントの完成度を最も高めたのは観客達ではなかろうか。
そしてこの観客が皆リピーターになるということは、第一回目にしてOriインクルーシブミュージックは最高の舞台に必要な最強のピースを手に入れたということなのだ。

帰路、「たのちかった!」と嬉しそうにはしゃぐ娘を見て、次回からはプランBを用意しなくてすむよう、忘れずに事前申し込みをしなければと心に誓う私であった。

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