あつぎごちゃまぜフェス2021
相変わらずコロナ禍が収まる気配をみせない。
それどころか、益々感染者は増加の一途を辿っている。
鬱屈した気持ちにすらならないほどだ。
私のワクチン接種は終わっているが、我が家にはワクチン接種できない抗がん剤治療中の妻と5歳の娘がいるため、外出を最低限にしている。
そんな時、SNSを開くとサルサガムテープのライブ告知をしているイベントが目に止まった。
「あつぎごちゃまぜフェス2021」
なになに?オンラインライブ。これなら自宅に居たまま参加できるぞ。
日時も大丈夫だ。よーし参加しよう!
無料のオンラインチケットをポチると、まもなく主催者からzoomのURLがメールで送られてきた。
オンラインライブ当日。
13:00スタートだ。
その時になって気づいた。zoom開催?はて、これは配信ライブを観るだけでなく、こちらのことも御参加の皆様に見られているのか。
まずい、下半身はトランクス一丁だ。PCの前で立ち上がれなくなってしまった。
カメラをoffにすることも考えたが、一緒に映っている自分大好きな娘はカメラをoffすることは許さないだろう。
会社のオンライン研修は上だけワイシャツ下パンツで2日間乗り切ったのだ。なんとかなるだろう。
そのオンライン研修で慣れないzoomを使っていたおかげで、カメラ機能に「見栄えを良くする」スライダーがあることを知ったため、全開にしてみた。
10歳くらい若返る。やりすぎだ。少し戻した。
あつぎごちゃまぜフェスの主催者は雨野千晴さんという女性であった。
プロフィールにはサルサガムテープが好き過ぎてNPO法人ハイテンションのスタッフになり、サルサガムテープの活動に参加するためにピアノを習い始めたとある。
まるでドリフターズに入るときの志村けんの熱意だ。少しヤバい人なのか?
しかし共通の想いに妙にシンパシーを感じた。
大勢の前で喋ることに慣れているようで、オンライン通信の不具合が少々あったが、全く動じずにニコニコと進行している。
プロだなぁと思った。
いよいよサルサガムテープのライブがスタート!久しぶりのメンバーAYAさんもいる。我が家の娘が妙に懐いており、自宅で過去のライブ動画や写真でAYAさんを見つけると雄叫びを上げて喜ぶのだ。
ライブスペースの都合など色々とあるのだろう。フルメンバーでないのがほんの少し残念だが、いつものゴキゲンなナンバーを次々と繰り出してくる。
本拠地厚木のステージだからか皆リラックスして見えた。
そういえば最近、娘は「スズメが3羽」のおかげで指で3ができるようになった。
本当はサルサガムテープのライブを観て退散してもいいかなと思っていたのだが、雨野さんが熱く語る「オリヒメ」や「オリィさん」についても俄然興味が沸いてきた。
「オリィさん」とは吉藤健太郎さんという、ロボット研究者で株式会社オリィ研究所の代表の愛称だ。
その「オリィさん」が開発、運用しているのが「OriHime」という分身ロボットだ。
オリィ研究所
株式会社オリィ研究所は「身体的問題や距離をコミュニケーションテクノロジ ーの研究開発により克服し、会いたい人に会えて、社会に参加できる未来」を 実現する為、2012年9月に設立されました。
ユーザの生の声を積極的に反映し、人間同士の繋がりを促進する為、製品の提 供を行なって参ります。
身体の大部分が動かない方が、僅かに動かすことができる「眼球」や「顎」に対応したコントローラー(マウス)を使用しパソコンを動かすことにより、遠隔地に於いても「Ori Hime」を通じてあたかも現地に同席しているのと同じ環境を再現できるし、事前にサンプリングしておけば本人の声での発声もできるという。
COMUGICO掲載の 未来ISSEY さんでも「OriHime」を無料貸し出ししています
私は今まではテクノロジーと福祉はあまり結びつかないイメージを持っていた。健常な人からの支援はハートや想いなどのソフトや体力が重要だと考えていた。
それはそれで間違いではないのだが、障がいのある当事者のなかには、「本当は何でもかんでも支援して欲しいわけじゃない。〇〇することができれば自分でできる」と考えている人も沢山おり、この〇〇をオリィさんはテクノロジーで解決しようというのだ。
知的に問題がなくとも、身体が不自由な為に自分の意思表示ができない人や、普通に生活をしている人がある日突然、進行性の身体的な障がいを伴う病を発症し、やがて自身の意思を伝えられなくなってしまった時に僅かでも自分の意思で動かすことができる部分があれば、他人に意思を伝えることができる。
これは福音だ。
他人と意思疎通ができれば、できることは格段に増える。
障がいを持つ人達がなにを望んでいるのか。
「オリィさん」の支援のベクトルは一方的な支援ではなく、社会参加への手助けなのだ。
自身の経験から「社会との遮断による孤独」の辛さを知った「オリィさん」は、障がいを持つ人達と健常な人の差をテクノロジーで埋めるべく「OriHime」を開発したのだ。
それは分身ロボットを作っただけで完成ではなく、分身ロボットを通じて障がい者が参加できる社会作り、システム作りへの提言でありチャレンジなのだ。
そして今、常設ロボットカフェの運用が始まっている。そこでは実際に「OriHime」による遠隔操作でカフェ店員として業務に従事している人がいる。
オリィさんはエンジニアだ。
私の妻も生粋のエンジニアである。私の主観であるが、エンジニアは自分がどう思われてもあまり意に返さないが、自分の造り上げたものには至極ナイーブな印象がある。
とあるオートバイ屋さん(業界ではレジェンド)と話しをした時、「私はいくら嫌われても構わないが、手掛けたバイクを悪く言われるのは我慢ならない。」と言っていた。
極度に人見知りの妻や、気難しいバイク屋のオヤジを見て「有能なエンジニアにはプロデュースする人が必要なんだな」と思っていた。
しかしオリィさんは自身を前面押し立てて開発したものをプロデュースしており、講演は「開発者の想い」が直接ビシビシと伝わってくるものであった。
zoom講演中にも「ステキ!」「カッコイイ!」との書き込みがチャットを賑わせていたように、少し影のある顎の細いマスクと切長の目。シュッとしたスタイル。
簡単に言えば私の真逆。
同じ男性としては羨ましい限りだ。
クールなルックスから滲み出る自信と情熱。
zoom機能の「見栄えを良くする」スライダーが1mあっても太刀打ちできそできそうにない。
講演の最後に「今回のzoom講演についてブログ記事を上げてもいいですか」と尋ねると画面越しにニコリと微笑んで「拡散歓迎です」と快くOKしてくれた。
基本的にイケメンは信用できないと思っていたのだが、どうやらその考えを改める必要がありそうだ。
初参加のあつぎごちゃまぜフェスであったが、翌週のスロバラSUNZのオンラインライブも楽しく参加させて頂いた。
雨野さんが、各所のアートギャラリーやマルシェを実況しながら回ってくれたり、自宅にいながら参加できる工夫に満ちたイベントであった。昨年の企画に至っては24時間ぶっ通しだったらしい。「深夜のお悩み相談」なるプログラムがあるのを見つけた時はオテンバな企画に思わず吹き出してしまった。
恐ろしいことにこのイベントは1カ月以上の長期企画なのだ。
「あつぎごちゃまぜフェス」まさに地域を巻き込んでいる感が満載であった。
厚木在住でないビビリな私は巻き込まれたかったような、巻き込まれずにホッとしてるような感覚である。
誰か止める人はいなかったのだろうか。
きっと雨野さんを止めることなどできなかったに違いない。
シンパシーを感じたと書いたが、前言を撤回せざるを得ない。
雨野さんのバイタリティと実行力には私なぞ足元にも及ばない。
アツすぎるぞ厚木。
住みたい街ナンバー1ではあるが、私にはまだ厚木にすむ資格はなさそうだ。
厚木市民になるために、まだまだ精進して功徳を積む必要を感じたのだった。
名称 | あつぎごちゃまぜフェス |
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