ダイジョウブゥ祭り|障害福祉はロックンロールで大丈夫!

NPO法人ハイテンションが初めてお祭りイベントを開催するという。
サルサガムテープというロックバンドの母体団体であり、私がリスペクトしてやまないNPO法人である。

福祉施設のお祭りイベントのイメージって施設関係者と利用者とその身内が対象でなんとなく地味なイメージを持っていた。

ハイテンションが企画するとどんなイベントになるのか楽しみであったが、我々も参加することで「枯れ木も山の賑わい」として盛り上げる手助けができるのではないかと思っていた。
後にそれはとんだ思い上がりであったと思い知ることになるのだが、、、。

ニルカフェで充分腹を満たした我々は意気揚々とハイテンションに向かった。
徒歩5分もかからない距離だ。

当日は台風が接近していて天気のコンディションははっきり言って最悪だ。第一回目初めてのイベントに来場者が少なかったら主催者はガッカリしてしまうだろう。
そんな気持ちが無くもなかったが、そんなのは全くの杞憂であった。

「こんにちは〜!」
ハイテンション入口の受付で声をかけると、「久しぶりー!」と嬉しい返事が返ってきた。
三年のブランクなど全く感じさせないフレンドリーな対応に嬉しくなった。
受付で記名しながら、かなりの盛況ぶりにイベントの成功を確信した。
的当てやヨーヨー釣り、ハンドペイントなどの各コーナーでは利用者さんと職員さんが連携して来場者に対応している。
娘は順番待ちが発生しているハンドペイントの整理券をもらって、順番が来るまで他のコーナーをまわっていく作戦だ。


それにしても盛況だ。外の今にも号泣しそうな空模様と薄暗い通りとは裏腹に会場内は明るく活気に満ちている。
ふと見ると入口から男の子を連れた近所のママが中を覗いている。男の子は楽しげな雰囲気に興味深々の様子。
「お祭りやってまーす!どうぞ遊んでいって下さい!」
スタッフの方が手招きして呼び込むと目を輝かせながら男の子が飛び込んできた。
ママもおずおずと中に入った。
様々な障害や特性を持った子どもたちのイベントに通りすがりの親子がすっと溶け込む瞬間を目撃して鼻の奥がツンとなった。
初開催のイベントに近所の人がふらっと参加できる雰囲気は一朝一夕にできるものではない。
日頃から地域との関わりを持って活動している証だ。
この親子は今後もずっと障害者に対する偏見など持たないであろう。
よく見るとこうした親子連れが何組もいる。
共生社会やインクルーシブを声高に叫ばずとも自然とそれが醸成されている。
インクルーシブという言葉が流行る遥か以前から、当たり前にこうした活動を継続している結果なのだ。

お祭りの会場はハイテンション、ロウテンション、カムカムの3カ所だ。
ロウテンションはアート創作の工房でありハイテンション利用者の芸術的才能が発露する場所だ。ここではお絵描き体験ができる。
壁に掛けられた作品を車椅子に乗った作者が嬉しそうに家族に紹介している横で、娘は初対面の子どもとマジックの貸し借りをしながら自由にお絵描きを楽しんでいる。壁や床に飛び散った絵の具や壁に直接描かれた落書き。大家さんの理解と信頼関係がなければなかなか難しいだろう。
サルサガムテープの名曲ワンダフル世界のMVの舞台にもなっているこの場所はやはりどこか怪しげな空間である。陰と陽が入り混じった何か得体の知れないエナジーが床壁天井にこびりついている気がするのだ。
居心地がいいのか、机にしがみついて離れない娘をなんとか引き剥がし、順番を待っていた男の子に場所を譲った。

次に向かうのはハイテンションが新たに始めた生活介護事業所カムカムだ。
ここではライブステージを開催しており、放課後等デイサービス”スローバラード”に通う子どもたちを中心としたバンド、スロバラSUNZのライブがあるのだ。
チラシの略図を頼りにロウテンションから5分程の場所へ向かう途中、いつもInstagramで活動を拝見している、ウッカリ女子の雨野さんと出会った。
雨野さんはInstagramと変わらぬ笑顔で
「こんにちは!どっかで会いましたよね!」
と手を振ってくれた。
この方はごちゃまぜフェスの首謀者で並外れた行動力と類い稀な開き直りで人々を魅了し、周りの人を巻き添えにする達人だ。
なぜか皆嬉しそうに巻き添えになっていくように見える不思議な人だ。
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オンラインイベントで見かけた私をなんとなく覚えていてくれたことが嬉しい。
彼女のバンド”トリプルブッキング”の演奏はもう終わってしまったらしい。残念。
少し前にライブ動画を拝見したが、ポップな曲調は私好みの名曲であった。

スロバラSUNZの演奏にはなんとか間に合った。広くはないステージにメンバーがひしめき合っている。客席も満員だ。
動画で何度となく聴いている曲や初めて聴く曲、いずれも生音で聴くと何倍も感動する。
ラストの曲はおなじみの「ジャンプ」。忌野清志郎さんの名曲だ。
我が家も大好きなこの曲はイントロのサックスパートが印象的だが、スロバラSUNZにはサキソフォンのメンバーがいない。
どういうアレンジなのか、あのフレーズが無いとすごく残念な感じになってしまうんじゃないか。
期待と不安のうち、やや不安が勝る。
演奏が始まって私の小ぶりな脳みそはぶっ飛んだ。
「パッパラッパー!パーパラッパー!パッパラッパー!パーパパッパー!🎶」
メンバー全員が声でイントロのメロディをシャウトしたのだ!
頭皮に鳥肌が立ち、髪の毛が逆立つ。
完全に一本、いや十本くらい取られた。

これイイじゃん!最高!

音を楽しむという音楽の本質を垣間見た気がした。
自分達が出したい音やメロディを放つのに手段は関係ないのだ。楽譜や原曲をただなぞるのではなく、ステージで堂々と胸を張って演奏する彼らは最高にカッコよかった。
感動と足の痺れでヨロめきながら受付にたどり着きスロバラSUNZのCDを買い求めた。

出入口ではハイテンションのBIGBOSSかしわ哲さんがニコニコと来場したお客さんやスタッフさんを見守っている。不躾だと思いながら私は着ているコムTの背中にサインをお願いした。
かしわ哲さんは快くサインをしてくれ、次のライブへお誘いしてくれた。
久しぶりの厚木探訪は実に有意義で楽しく、感動的であった。
この街は訪れるたびに刺激を与えてくれる。
何か背中を押してくれるような感覚だ。
帰宅後、Tシャツを脱いで見るとかしわ哲さんのサインと共に”ロックン・ロール”の文字が書かれていた。
ロックン・ロールという”情熱”を注入された私はくすぶっていた何かにまた火がついたような気がしたのだった。

家宝がまたひとつ増えました

家族で記念撮影しましたー

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