NPO法人 チャイボラの活動報告&社会的養護について考える会に参加しました。

12月19日 18:30
今日はNPO法人チャイボラ(以下チャイボラ)の活動報告&社会的養護について考える会に参加しました。

チャイボラってなんだ?河口付近に大発生している体長80センチくらいのサカナで卵はカラスミとして珍重されるボラの仲間?
いや違う。”「子どもたち一人ひとりが大切に育てられる」世の中を目指して”をスローガンに活動しているNPO法人だ。
具体的には社会的養護の施設の慢性的な人手不足を解消する事を目的として活動している。

チャイボラの活動に賛同する「第一勧業信用組合」の本店会議室が会場だ。
東京の西の外れで生活・勤務しているので、都心の四ッ谷にある会場まで二時間近くかかってしまい、少し遅れてしまった。

平日にもかかわらず会場はほぼ満席だ。募集定員30名+スタッフの方々は想像していたより若い方が多い。
すでにチャイボラ代表の大山さんのプレゼンは始まっていた。

社会的養護の現状を俯瞰でみたデータや数値による説明と、職員として経験した主観での解説は、とてもわかりやすくあっという間に引き込まれてしまった。
すでに面識のあった鴇田さんの貴重な現場経験も興味深い話だった。
その後は各テーブル毎にテーマが与えられ、7〜8名でテーマについて討議した。

実に様々なカテゴリの方々が参加していた。
アメリカの大学院で教育について研究している人や放課後等デイサービスの作業療法士、現役の養護施設職員さん、NPOなどの法人で活動している人、財団法人の代表、主婦の人、サラリーマン(私)

正直なところ1時間では議論が尽きない。様々な観点からテーマについての意見が出され、自身が知り得なかった情報や、見方につい聞き入ってしまう。「時間よ止まれ」矢沢永吉の歌が脳裏をよぎる。

チャイボラの”施設に関心のある人を施設に繋いだり、社会的養護の現状を正しく発信することで職員を増やし、長く働ける環境を職員さんと共に作ること”という活動内容について、最初は実にニッチなところに焦点を絞った活動に思えた。支援の必要なこども達を直接支援するのではなく、こども達を支援する施設や職員に対しての支援を目的としているのだ。

一見ちょっと回りくどいと感じてしまうが、よくよく考えてみるとこんなに合理的な支援はないことに気づいた。
お腹を空かせたこどもに食事を差し出すことが”直接的支援”とすれば、チャイボラの支援は、作物を作る畑を用意する”抜本的支援”と言えると思う。

養護施設の現状
養護施設に対する認知不足→就職希望者が少ない→職員さん少ない→こども達へのケアが行き届かない→こどもの情緒が安定しない→こどもの素行が悪くなる→職員さん益々大変→(離職してしまう)→益々ケアが行き届かない→・・・
社会の認知不足と偏見、養護施設の求人力不足と閉鎖性による職場環境悪化のスパイラル。

現在の社会的養護の職場環境は職員さん達の高い志と善意と苛烈な労働環境の上にかろうじて成立しているのだ。

これに対してチャイボラは「社会的啓発」「就職希望者への働きかけ」「施設の情報発信の協力」によって職員の増加を促し→職場環境の改善→こども達へのケア充実→より健全なこどもの成長→養護施設のイメージ向上→就職希望者の増加→職員の増加というプラスのスパイラルに変えるアプローチを行なっている。
様々な事情で親に育てて貰えないこども達には”特別な支援”が必要であるが支援の方法が「障がい児」よりも難しい。壁を感じるのだ。
プライバシーの壁。
この壁が子どもを守っていることも事実だが、施設のイメージを閉鎖的で暗いものにしている気がする。
今の世の中、キレイゴトだけではやっていけない養護の現場。あえて一般社会との隔たりを設け、目を背けさせているような”誰か”の意志すら感じてしまう。
マイノリティに寄り添うより、マジョリティに媚びを売る方が「特」だから、政治や行政の大多数が見て見ぬ振りをしているのではないかとすら勘ぐってしまう。
(もちろん真正面から向き合っている方々も沢山いることも知っていますが、、、)
社会的養護の施設や職員、現場について認知を広げて子ども達により良いケアを行うこと。難しい問題だが、チャイボラはこの「難しい問題」に人的資源に関する支援でチャレンジしている。

皆さんと記念撮影

私は今回のチャイボラの会に様々なジャンルの人が参加し活発な討議をしていたことが、何より嬉しかった。
少し前チャイボラの理事の一人と居酒屋で打ち合わせをした時、「歌が好きな人が歌手を目指し、絵が好きだから画家になる。私は子供が好きだから、子供に携わることを職業として選んだ。”養護施設で働くなんて偉い”と言われてもピンとこない。」と言っていた。

絶対条件は”高い志”でなく、”子どもが大好き”なこと。

チャイボラが目指す、子どもが大好きな人の職業選択の選択肢の一つとして他の一般的な教育現場と同じ、普通の職場として養護施設の認知を広げること。
なぜこれを行政主導でやらないのか。

そのことに憤りを感じると共に、目を背けることで”黙認”してしまってはならないという自戒を込めて、私はチャイボラの活動に賛同していきたいと思う。
ワークショップ後の懇親会も実に有意義であった。居酒屋での砕けた雰囲気の中で、様々な角度からの色々な話を聞くことができた。
あっという間であった。

今回、私は社会的養護の知らなかった現実に愕然としたが、私よりもずっと若い人達が沢山参加していたことに明るい兆しを感じた。散会後、なんだか嬉しい気持ちを抑えきれずニヤつきながら人気の少なくなったビル街を一人余韻に浸りながら地下鉄一駅分歩いた。

若くて熱い思いを聴くのは無駄に年齢を重ねた私にはすごく刺激的だった。あっという間に時間が過ぎてしまう。
若さと熱さは時間の流れを早めるようだ。社会的養護の明るい未来を想像しながら時間を確認した私は青ざめた。

チャイボラとの関わりはまだ2回だが、2回とも終電間際になってしまった。
そしてニヤけたままの私は出発ベルの鳴り響く地下鉄のホームへと足をもつれさせながら「時間よ〜止ま〜れ〜」と駆け下りて行ったのだった。

名称 NPO法人チャイボラ
WEB NPO法人チャイボラ 公式サイト
WEB 社会的養護 総合情報サイト チャボナビ
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