「21番目の素敵な出逢い」を見に行きました

知的にハンディのある人たちが活き活きと暮らし、インクルーシブな社会をめざすNPO法人ドリームエナジープロジェクトさんが主催する「21番目の素敵な出逢い」を友人と見に行きました。
2016年から始まり今回3回目になる公演だったようです。それにしても素敵なネーミングだと思いませんか。

手前のビルが県民共済みらいホール。空が綺麗。

プログラム構成

オープニングのソーラン演舞
[ 第1部 ] ダウン症のあるパフォーマーたちによる演奏
[ 第2部 ] 演劇「21番目の素敵な出逢い」
[ 第3部 ] トークショー

オープニングのソーラン演舞

勇壮な音楽に乗せてダイナミックに踊る演者の方々は、きっと沢山練習したであろう成果を遺憾無く発揮していました!
勇ましい表情に垣間見える笑顔が、何より本人たちが一番楽しんでいる事を表していました。そしてその雰囲気が会場全体に広がり、ステージと観客席が一体になりました!
一気にボルテージが上り、ワクワクとドキドキが最高潮に!

[ 第1部 ] ダウン症のあるパフォーマーたちによる演奏

トランペット演奏 TOSHIKI さん

最初に管楽器の花形トランペットを演奏するのは、TOSHIKIさん。伴奏のピアノとのコンビネーションもバッチリ!しっとりとした「上を向いて歩こう」と、「My romances」で盛り上がった会場を優しく包み込むような雰囲気。
伴奏の方とアイコンタクトしながら、堂々と演奏する様は文句なしにカッコいい!
同じ男性としてはチョット悔しい(涙)
そして、立ち振る舞いもジェントル!もう残念ながら私に勝ち目はありません。

ピアノ演奏 清水麻由さん

5歳からピアノを始めたそうです。国際的な活動をされておりコンクールで入賞するほど!「ひまわり」は曲名のイメージと違う、哀しげな音色にいつの間にか背筋を正して聴き入ってしました。「ホールニューワールド」では優しい音色に場内はウットリ。
ピアニストのオーラが眩しいくらいでした。
我が家の娘もピアノを習い始めましたが、未だにイスの上に座らせるのに手間取っている状態。果たして麻由さんのようになれるだろうか?

独唱 内海隼吾さん

「地上の星」「昴」の独唱!
小学生で「千の風になって」と出逢い独唱に目覚めたとの事。自分は46年生きてきて、隼吾さんのように打ち込めるものと出逢えただろうか。きっと何度も出逢ってるのだろう。
でも、行動する前に諦めたり、違うものに興味が移ったりして何も成し遂げられていない。
隼吾さんの独唱を聴いて、私は自分を恥ずかしいと感じました。
一途に、そして堂々とステージに立つ隼吾さんを尊敬している自分がいました。
いつか隼吾さんの「千の風になって」を聴きたい。完全にファンになりました!

ピアノ演奏 鈴木凛太郎さん

トリは鈴木凛太郎さんのピアノ演奏です。
クラシックの名曲「別れの曲/ショパン」「トロイメライ」です。
右手が無いとは思えない見事な演奏。圧巻です。もう手の数なんて関係ないんです。
少し前かがみに鍵盤に向かう姿勢は、何かに挑んでいるよう。そしてそれを楽しんでいるのがビシビシと伝わってきます。
本能で弾いていると感じました。なんだか試合を楽しんでいるボクサーのように男らしい感じがしました。

[ 第2部 ] 演劇「21番目の素敵な出逢い」

いよいよ演劇の始まりです。
事前の予備知識ゼロでの観劇です。プログラムは入場時に頂いておりましたが、司会の方の「終わってから見てください」のアドバイスを受け、プログラムは閉じたままです。
主役はダウン症を持つ男女の役者さん。穏やかなシュチュエーションの中、堂々たる演技!滑舌も良く、あっという間に劇中の世界に引き込まれて行きます。
サポートのプロの女優さんたちに全くひけをとらない存在感です。(逆にサポートに徹して、存在感を消すプロの凄さ!)

試練や苦難を乗り越え、居心地の良い暗闇へ辿り着く主役達。そこで出逢う様々な生き物達、時折笑いを織り交ぜ不思議な世界を体現しています。この生き物達の種類と登場順序に、感の良い人はこの場所がどこか気付くでしょう。ここで伏線を回収して気持ちいい納得感があります。
しかし、クライマックスはここからです。
なぜ、命は誕生するのか?この疑問に対して見事な回答で応えてくれます。「お母さんに逢いたいから!」 単純明解です。シンプルで偽りの無い素晴らしい回答と感じました。
そしてステージの上から演者一人一人が、「お母さんに逢いたい!」と叫び、客席に飛び出して行きます。
そして彼等が選んだ観客を各々ステージにエスコートするのです。年齢や性別は関係ないのです。
我が家の娘(3歳)も、ステキなお嬢さんのお母さんに選んでもらえました。
歌詞カードを受け取り、テーマにぴったりのさだまさしさんの「いのちの理由」を全員で合唱し ステージと客席が完全に融合しました。
演者さんたちは障がいの有無を感じさせないほどに練習したのでしょう。みんな個性的ですが、協力して楽しみながらこの素晴らしい作品を作り上げたのを感じました。

この時点でうちのママは感動で顔中の穴という穴から液体を出しまくっていました。脱水症状が心配になる程に。
生まれる前から数々の試練を受け、生まれた後も様々な合併症や偏見という試練がある中で、「お母さんに逢いたい!」の一念が根幹にあると改めて感じ、感極まったようです。
私も胎児が子宮の中で旅をするストーリーを通して命の神秘や哲学的なメッセージを感じました。
我が家はダウン症の長男を3年前にNICUで亡くしており、その時沢山のベッドで治療している赤ちゃん達を見ていました。
力尽きてしまう子供達や、必死に我が子に寄り添う母親を見て命の尊さ儚さ、母性の凄さをまざまざと感じたことを思い出しました。


※ 写真提供:NPO法人ドリームエナジープロジェクトさん

[ 第3部 ] トークショー

主催者の内海さんとプロの俳優さん、演出家の方々が、この作品への想いと今日までのプロセスを語ってくださいました。
とても楽しそうな練習の様子が垣間見えました。また、常盤貴子さん、志甫まゆ子さん、演出家の方々がこの企画に心から賛同して協力していらっしゃる事にも、とても有り難く嬉しい気持ちになりました。
そして最後に内海さんから 「この脚本を無償で提供するので、ご希望の方はどうぞ地元で上演してください」 とのアナウンスがあり、3年ブラッシュアップしたご自身の作品を、惜しげもなく無償提供する懐の深さに完全に感服しました。
我が家と同じ3歳のダウン症の娘さんのいる友人家族と観劇したのですが、我々の子供達に素晴らしい未来があることを改めて感じました。

早くも来年が楽しみです
そしていつかは我が娘も「21番目の素敵な出逢い」のステージに立ち、観客に感動を与えられる人になって欲しいと心から願っているのです。

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