調布市地域福祉活動計画に参加しました

割と引越しの多い人生であった。
北区→八千代市→船橋市→船橋市(団地)→世田谷区(烏山)→世田谷区(代沢)→日野市(市内で3回移動)→調布市(つつじヶ丘)→調布市(今)
だから”地元”という感覚はあまりなく、
特に義務教育以降は地域との繋がりが希薄であった。
そんな私であったが、ある日地元の行政職員の方から地域の「社会福祉活動計画」に参加してみないかとお誘いをいただいた。
以前COMUGICOの活動を始めた頃にご挨拶したことを覚えていてくれたことが嬉しく、
「何かお役に立てるのであれば喜んで!」
と答えた。
年が変わり、そんなやり取りも忘れかけていた時、「以前お話しした件、新年度より始動しますのでヨロシク」
と連絡がきた。
打合せ内容は新年度に向けての顔合わせや活動計画の概要説明、日時は3月下旬の18:30〜20:30。
会社員の私にはありがたい時間帯だ。
「喜んで!」とは言ったものの何をやるのかはおろか、どういった人が何人いるのかすら知らない。
全く初めてのコミュニティに参加するのはドキドキするしワクワクもする。多少の不安はあるが期待の方がはるかに大きい。

打合せ当日、会場に入ると30人近い人が集まっていた。当然職員さん以外に知っている人はいない。
A4サイズの紙を三角柱に折り席札を立てる。
マジックを手に少し悩んで、
「コムギコ 小川琢也」と書いた。
訝しげに席札をみていた対面のご婦人と目が合い、お互いにぼんやりとした会釈をする。
会場に居る人は老若男女様々であったが、皆さん地域活動をしている方や興味がある方なのだろう。怪しい人物はいなそうだが私がどう見られているかはわからない。
定刻になり配布資料の次第通り自己紹介が始まった。
自治会の役員さん、小学校のPTA役員、民生員、NPO代表、福祉施設の職員、自治会の会長などなど皆社会的地位のある方々がたくさん参画している。
自己紹介を聞くとほとんどの人が生まれも育ちも調布で地元を愛してやまない方ばかりだ。
地元愛に満ちた空間になんだか少し取り残された気持ちの中、いつも通り辿々しく自己紹介を終えた。

「社会福祉活動計画」とはなんぞや。
行政職員さんから配布資料に基づいた説明があった。どうやら半年で活動方針を定めその後の5年でその活動方針に従い計画を実行していくという。

同じ市内とはいえ、駅近くの繁華街と自然豊かな所では問題意識が違うし、年齢や性別によっても同じ事象に対する考えも違う。例えば「自然が多く公園がたくさんある」環境はある人にとっては「虫が多くて夜暗い」環境なのだし、「駅が近くてお店がたくさんある」のは「人が多くて治安が悪い」と感じる人もいる。
同じ市内といえど北の端の住人は南の端のことは不案内だ。
いくら話あったとてなかなか噛み合わない話が平行線を辿る。
ただ、皆意識は高く地元をよりよくしたいという熱意にあふれている。これはもったいない。
自分事として捉えることのできるエリアにグループを細分化する提案をすると、皆同じことを考えていたようで賛同を得ることができた。

小学校の学区ごとに細分化したグループは6〜8人くらいの人数になり、それぞれのグループで活発な意見交換が行われている。
テーマに合った人物を招いてグループに参加してもらうのも自由なので 3回、4回と回を追うごとに参加者が増えていくのもなんだか嬉しい。
職員さんも地域の小・中学校にアンケートを取ったり、窓口に持ち込まれた様々な事例を挙げ、問題を抽出する材料を提供してくれる。

意外にも特別支援学校(教育)に興味を持ってくれる方々が多く、地域に「在る」ことは知っていても関わり合う機会が少ないことを告げられた。
また、私自身も様々な地域活動が行われていることを改めて知った。
タウン紙や市報の「お知らせ欄」や行政のHPをつぶさに確認すれば知ることはできたのだろうが、なかなか目を通すことはなかったのだ。
ただ、実際に会って話した方々が主催したり、参加しているとなればより積極的に参加したくなる。
やがて会合が終わった後、居酒屋で親交を深めたりしているうちに地域という共通点以外に接点の無かった人達と「仲間」になったきがした。
職場と家の往復だけでは得られない人間関係だ。
実際に夏祭りや子ども食堂、パントリー、ディキャンプ、チャリティーウォーク、実験教室などの地域活動に参加する度に顔見知りが増え「地元」への帰属意識が芽生えていった。

「子ども」の立場になって考えると、市区町村立の学校に通学していれば自ずと地域と関わることになるのだが、都道府県立の支援学校に通う障害児は地域のコミュニティに関わりづらい。職場と家をただ往復している私と同じだ。
地域で行われている様々な行事の情報が支援学校にほとんど共有されていないのは、「都道府県立の特別支援学校」が「市政」と切り離されているからだろうか。
副籍交流でかろうじて繋がりを持ってはいるが、地域活動による体験機会は通常級の子どもと圧倒的な差がある。
地域活動に参加し、できたばかりの小さな友人と嬌声をあげながら走り回る娘を見て、親の私たちが積極的に参加していかなけば娘の交友範囲や体験機会は得られないのだと改めて思った。

「社会福祉活動計画」は無事計画作成を終え、かなりユニークなスローガンと紹介ページが出来上がった。
ただ大切なのは計画を立てたり、パンフレットを作ることではなく活動を実行することなのだ。
その「仲間」の末席に参画している私とムギコ。ワクワクしながら活動に参加する度に希薄であった地元愛がジワジワと色濃くなっていくのを感じるのであった。

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